第52回ホリスティックフォーラム(大阪)

平成11年5月30日(日)


ホリスティック医学に必要な心理療法のあり方とは

講師 : 頼藤和寛 (神戸女学院大学教授)

科学の立場からすると心理療法というのは怪しげな領域です。何に効くのか、なぜ効くのか、いや、そもそも本当に効いているのか、などがあいまいといえます。この不明瞭さを独特のレトリックで修飾したりメッキしたりして、多くのファンを獲得しています。
 基本的な構造として、自己の物語を修正する・緊張を緩和する・行動や認知を変化させる・生活に目的性を導入するなどが挙げられ、各流派は、このうちいずれかの側面を強調しています。宗教同様、生活や意識を改変する必要のある顧客には有用でしょう。ただし宗教同様、ハマることによる効用と危険もあります。
 全体医学のように人間存在を単なる肉体、あるいは単なる実存とだけ見るのではなく、総合的にとらえてアプローチしようとする場合、心理療法の適応、効用と限界、科学的な吟味をわきまえておくことは不可欠な心得かと思います。フォーラムではそのあたりのことを中心にお話しをしていただきます。


 

頼藤和寛(よりふじかずひろ) 神戸女学院大学・人間科学科 教授

昭和22年、大阪市生まれ。昭和47年、大阪大学医学部卒業。麻酔科、外科を経て精神医学専攻。堺・浅香山病院勤務ののち、阪大病院精神医学教室へ。昭和61年、大阪府中央児童相談所(現・子ども家庭センター)主幹。平成9年より現職。大阪大学医学部非常勤講師。医学博士。