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第44回ホリスティックフォーラム(大阪)

ホリスティック医療の核としての心身医療

講師:関西医科大学心療内科教授 中井吉英氏

 

 心身医学における医療モデルは、池見酉次郎先生によるとbio-psycho-socio-ecological(existential)model(生物学的・心理的・社会的・環境的・実存的モデル)であり、この考え方はホリスティック医学の医療モデルとも一致します。ともすれば、代替療法を寄せ集めただけのものと見なされがちであるホリスティック医学が、今後日本の医療現場で認められていくためには、その中心となる核のような概念や方法論が必要となります。すなわち現代西洋医学の立場からも十分理解されるような理論や知識が、ホリスティック医療に従事する者にとって重要になってくるのです。 言い換えてみると、biomedicalmodel(生物学的医療モデル)として発達してきた現代西洋医学と、全体として人間をとらえようとするホリスティック医学の間の架け橋のような存在が心身医学なのです。そして、実際に心身医学を行う心療内科医は、両者の間に入る通訳の役割を担っているとも言えます。このことは、現在心身医学的治療法として、通常の病院で行われている治療法の中に、ヨガや絶食療法など多くの代替療法が含まれていることからも言えると思います。ただ日本の場合、心療内科医が行えば心身医学的治療となり、医師以外の者が行うと代替療法と見なされてしまうということがあります。
 今回のホリスティック・フォーラムでは、心身医学における関西地区の第一人者である、関西医科大学心療内科教授の中井吉英先生に「ホリスティック医療の核としての心身医学」について、ご講演していただきます。現在ホリスティックな医療に従事されている方にとっては、実際の臨床の場で、いったいどんなことが治療関係の中で起こっていて、治癒系を活性化しているのかが理解できることと思います。どのような代替療法にせよ、その治療手技のみによる効果は一部分にすぎず、実際には治療関係という場のなかでの、言語的・非言語的なコミュニケーションがもつ癒しの力が大きいのです。またそれぞれの臨床家が、biomedical
model(生物学的医療モデル)としての現代西洋医学の考え方の立場の方達とも、自由に話し合うことができる共通言語としての心身医学を、この機会に是非とも学ぶきっかけをつかんでいただければと考えております。

中井吉英(なかいよしひで)

中井吉英(なかいよしひで)
1942年京都生まれ。関西医科大学心療内科教授。
1969年関西医科大学卒業。'72年九州大学医学部心療内科入局。同助手を経て'80年より同講師。'86年9月より関西医科大学第一内科講師、同助教授を経て、'93年12月より現職。現在、九州大学医学部および三重大学医学部非常勤講師を兼任。専門は心身医学、消化器病学、医療行動科学。研究テーマは消化管機能異常、慢性膵炎、慢性疼痛、成人病・慢性疾患、サイコオンコロジーなどに関する心身医学・行動医学的研究。
著書として「心の渇きが癒される本」PHP研究所発行などがある。