第80回ホリスティックフォーラム大阪
平成16年12月23日(木・祝)
ホリスティック緩和ケアの試み
―終末期がん患者さんへのトータルサポートの実際―
講師 : 黒丸尊治 先生
緩和ケアとは、西洋医学的治療が困難になった終末期がん患者さんに対して、肉体的、精神的苦痛の緩和を目的とした治療やケアをすることを意味する。一般的には、最後に時間を安らかに過ごしたいと思っている患者さんが来るところというイメージがあるが、実際には、がん告知がなされていない患者さんや、まだ他に治療法がないだろうかといった思いを持っている患者さんも少ない。そのような患者さんに対しては、心身のケアはもちろんのこと、代替医療やスピリチュアルなアプローチも必要となってくる。
現在、彦根市立病院緩和ケア病棟では、終末期がん患者さんに対して肉体的、精神的、社会的、霊的側面からのトータルサポートをすると同時に、アロマセラピーやリフレクソロジー、カラーセラピーなどの一般的代替医療はもちろんのこと、ホメオパシーや丸山ワクチンといった治療を目的とした代替医療も取り入れながら、患者さんの「治りたい」という希望をも大切にしたホリスティック緩和ケアに取り組んでいる。
今回は、これらの実際についてお話しするとともに、今後の緩和ケアのあるべき姿についても考えていきたいと思っている。
プロフィール
1959年、東京都生まれ。87年信州大学医学部卒。徳洲会野崎病院にて、内科、外科、産婦人科、小児科の研修を3年間した後、90年4月より関西医科大学心療内科学講座に入局。九州大学心療内科、洛和会音羽病院心療内科を経て、平成14年11月より彦根市立病院緩和ケア科部長となり現在に至る。がんの終末期のみならず、がんという診断がついた段階から、死に至るまでのすべての段階で緩和ケアが必要であるという観点から、現在緩和医療に取り組んでいる。また、ホリスティック医学にも深い関心を持ち、89年5月より、大阪にて一般の人を対象にしたホリスティックフォーラムやシンポジウムを定期的に開催し、この分野においても精力的に活動している。日本心身医学会指導医、同評議員、日本心療内科学会評議員。日本サイコオンコロジー学会常任世話人。日本ホリスティック医学協会理事、同関西支部長。米国NLP協会公認NLPプラクティショナー。著書に『心の治癒力をうまく引きだす』(築地書館)、共訳書に『心理療法・その基礎なるもの』(金剛出版)などがある。