このシンポジウムの企画を考え始めた2010年秋には、このテーマが、これほどの現実性と必要性を私たちに突きつけることになるとは考えてもいませんでした。
人口が増加し、伝統的な文化や生活習慣が失われ、環境汚染や戦争、自然災害、経済危機などがもたらす目に見えない閉塞感の中、3月11日、東日本を中心に大地が大きく揺れました。
多くの尊い大切ないのちが失われた大震災では、これまでの価値観も揺らぎ、新たな人との関わりや生き方や暮らし方が関心を集める中でのシンポジウム開催となりました。
まるごとの生命そのものの存在である私たち人間は、地球の自然や環境と切り離されて生きることはできません。最新の量子物理学によると、物質の最小単位である「量子」のふるまいは「非局在性」であることが分かってきました。
このことは、すべての量子が密接にからみあい、時間と空間を超越して互いに作用しあう関係を示していますが、とりもなおさず、私たち一人ひとりの意識のあり方が時間や空間という枠にとらわれずに、互いに影響を与えることを示唆すると思われます。
アーヴィン・ラズロ(世界賢人会議「ブダペストクラブ」の創設者であり哲学者・物理学者)の著書『カオスポイント』によると、2012年には「持続不可能社会」と「持続可能社会」のターニングポイントに直面するといいます。
「ホリスティックな視点」を意識したホリスティックライフは、ひとつの意識体である地球の持続可能な未来を選び、創っていくのではないか。つまり、こころ、からだ、地球環境のエネルギー場を高めるために、意識や感情、行動を環境と調和させ、自然や地球とのつながりを意識することが、未来につながる生き方の選択となるのではないか。
そのためには、ホリスティックなマインドを持った生活や生き方が非常に重要となるのではないか、と感じている人々が、それぞれの立場での活動をすでに始めています。大震災を経験した私たちに何ができるのか、と考えたとき、今回のテーマが大きな意味を持って語りかけていると感じます。
シンポジウムでは、エコロジカルメディスン研究家で現在福島に暮らすアロマセラピストの安珠さん、自然豊かなリトリートセンター「穂高養生園」を主宰する福田俊作さん、ハーブやアロマセラピーなどの植物療法(フィトセラピー)研究家の池田明子さん、アンドルー・ワイル博士の統合医療塾で学び朝霧高原診療所を開設した山本竜隆先生、メインスピーカーには、京都大原の古民家でハーブとともに暮らすベニシア・スタンリー・スミスさんをお迎えし、生活に根ざしたホリスティックライフを伺うことで、ホリスティックな視点を持つことが、医療哲学だけではなく、どのように人生への変容や変革をもたらすのか、という問いをともに考えたいと思います。
パネルディスカッションでは「未来につながるホリスティックライフ」とは何か、私たちには何ができるのか、を考えるきっかけになることを願っています。
シンポジウム開催にあたり、多大なるご協力をたまわりました講演者の皆さま、関係者の皆さま、足を運んでくださる参加者の皆さま、そして関西支部運営委員の仲間に心からの感謝を申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
ホリスティック医学シンポジウム2011大阪 実行委員長 はやしひろこ
今回の実行委員長を務めるはやしひろこさんは、昨年の10月頃からこの企画を練り始め、年末にはテーマとすべての演者が決定されました。テーマの中にある「持続可能」という言葉は、ホリスティックな視点で物事を考えていくうえにおいて必要不可欠な概念です。
この言葉には「つながりの大切さ」という意味合いが含まれています。つまり、人とのつながり、自然とのつながり、環境とのつながり、社会とのつながり、さらには宇宙(霊性)とのつながりといった視点があってこそ、初めて持続可能な未来が見えてくるというわけです。
このシンポジウムの準備をしているさなかの今年3月11日、奇しくも東日本大震災が起こり、それに引き続き福島原発事故も発生、日本はもとより世界中の目が大震災や原発事故に釘付けになりました。大自然の脅威を目の当たりにするとともに、原発の絶対安全神話が崩壊した瞬間でもありました。また原発事故は放射能汚染という、人類の生存にかかわる大きな問題をも引き起こしました。
私たちは、この事故を通して持続可能な未来とは正反対の現実を目の当たりにすることになりました。だからこそ、今まさに、持続可能な未来につながるホリスティックライフについて真剣に考えていくべきであり、その意味で、このような時期にこのテーマでシンポジウムが開催できることに使命的な思いすら感じる次第です。
特に最初の演者である安珠さんは、現在、福島県の裏磐梯で自然と共生する地域づくりを実践しておられる方であり、今回の原発事故を受け、持続可能な福島にしたいという思いから、新たな活動にも取り組み始めました。
演者の中で、原発事故の現場から最も近いところで活動をしていることもあり、自然との共存や持続可能な社会作りの重要性を語る言葉には、福島のみならず日本を支えて行かなくてはいけないという強い思いを感じずにはおれません。
また他の演者も、自然との共存や環境とのつながりに深い関心を持っており、自らもその実践に携わっている方ばかりです。福田俊作さんは25年前に長野県の穂高に、食事、運動、リラックスを中心としたセルフケア施設である穂高養生園を設立、ここで自然との共存の重要性を長年訴え、実践されている鍼灸師の方です。
私がまだ信州大学の学生として松本に住んでいた頃、この穂高養生園が開設されたことを知り、とても興味を覚え、すぐさま見学に行ったのを今でもはっきりと覚えています。
池田明子さんはフィトセラピー(植物療法)の第一人者であり、ハーブやアロマセラピーのみならず、その植物を育てる豊かな森林環境の大切さにも目を向け、その土地本来の樹木による森つくりの植樹にも力を注いでいます。そのため日本はもちろんのこと、世界にまで足を伸ばし、植樹活動に精力的に取り組んでいます。
今回の大震災の時も、現場に赴き、津波による被害を最小限にするための植樹の必要性を訴えていました。そのような活動の一方で、ソフィアフィトセラピーカレッジを設立、植物療法の専門家の育成のも力を注いでいます。 山本竜隆さんは、現在、富士山麓の山中で暮らしながら、近くに開設した朝霧高原診療所の院長として地域医療に携わっている医師です。
自宅では水道やガスのない生活をしており、まさに自然と共存した生活を送っています。山本さんは、10年前にアンドルーワイル博士の統合医療プログラムにも参加しており、そこで学んだことがきっかけとなり現在の医療スタイルを確立したと言います。医療の分野において、どのようにして自然との共存という視点を取り入れつつ日々の診療に携わっているのか、とても興味深いものがあります。
最後の演者は今回のメインスピーカーであるベニシアさんです。現在、京都の大原でハーブガーデンを作りつつ、それらにかかわる様々な記事を雑誌や新聞に執筆、テレビなどでもしばしば取り上げられているのでご存じの方も多いと思います。ベニシアさんは「人の役に立ちたい」とずっと願いながら、庭を作り続けてこられたそうです。
その庭がベニシアさんと多くの人々をつなぎ、日本各地で講演活動を行い、気さくな笑顔で人々を魅了しています。ベニシアさんが今回このシンポジウムに来て頂けることになったのは、ひとえに実行委員長のはやしひろこさんの尽力によるものです。
以上の五人の演者に講演をしてもらったあと、最後は全員でパネルディスカッションに臨んで頂きます。ここでは各々の演者の話しを聴いた上で、それぞれの意見を交わして頂きます。
このパネルディスカッションをコーディネートしてくれるのが、当協会理事であり、ナチュラル心療内科クリニック院長でもある竹林直紀さんです。どのような展開になるか今から楽しみです。
なお、今回のシンポジウム全体の総合司会はホリスティックケアジャパン代表の相原由花さんにお願いしました。彼女の名司会ぶりを聴くのも、このシンポジウムのもうひとつの楽しみと言えましょう。
今回のシンポジウムは、自然や環境、社会と人とのつながりといった、今までにない切り口からの企画になっています。また、できるだけ具体的で実際的な提案もたくさん出てくると思います。このシンポジウムが、皆さんのこれからの持続可能な未来につながるきっかけになれば幸いです。
日本ホリスティック医学協会関西支部長 黒丸尊治
盛況のうちに終了いたしました。
ご来場ありがとうございました。
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